日本マクドナルドホールディングス株式会社
2008年3月19日
弊社ビジネスに関しての現状認識

日本マクドナルドの事業展開について昨今各方面からお問い合わせを頂いておりますが、弊社としての現状認識や考え方を整理いたしましたので、お知らせいたします

1.日本マクドナルドの事業展開と業績

過去4年間の業績の急速な回復

日本マクドナルドの業績は、1997年から2003年までの長期低迷のあと、現在の経営陣となってから急速に向上してきました。

  • この4年間で全店舗の売上は3,866億円から4,941億円へ1,075億円(28%)増となりました。
  • 97年より03年までの7年間マイナス成長であった既存店対前年比売上も、この4年間は連続してプラス成長を続け、07年には10.2%と23年ぶりの二桁アップの偉業を成し遂げました。
  • 利益レベルも向上しており、2007年は経常利益156億円(対前年99億円増/174%増)純利益78億円(対前年62億円増/405%増)となりました。

急成長を可能にした戦略

この急成長を支える戦略は3本の柱よりなっております。

  1. レストランビジネスはピープルビジネスであり、社員・クルー(店舗のアルバイト従業員)のスキルと意識向上なくしてはレストランオペレーションの実行の質とスピードの向上はありえません。抜本的な社員とクルーのトレーニングシステムの改善、客観的な評価制度、社内公募制度、成果給の導入など、「人材パイプライン」という理念のもと施策を次々に実行してまいりました。このような人材意識の向上が、戦略実行の成功をもたらした最も重要な企業変革です。
  2. 『顧客数拡大戦略』のためのメニュー開発と価格戦略を展開しました。
  3. 2003年までの投資の欠如による店舗のQSCの低下とインフラの弱点を回復し、さらに成長戦略に不可欠な積極的投資を継続してきました。特に店舗改装、不採算店閉鎖、新規店舗開発、情報インフラシステムの構築、人材開発・トレーニングなどが主な投資内容です。

その結果この4年間でQSC (品質、サービス、清潔さ)の満足度において、競合他社からの高い優位性を確立いたしました。

これらの活動とともに、新メニューの導入、24時間営業の拡大等の活動を積極的に展開し、ブランドの優位性を急速に高めました。

今後ともこれら革新的な戦略を引き続き展開し、2010年にはトータル売上6,000億円を視野に入れ、戦略を推進してまいります。

成長戦略に果たす店長の大きな役割

  • この成長を支えてきた最も重要な原動力が、現場のリーダーである店長です。マクドナルドでは「店舗」が経営の最も大切な単位であり、その責任者である店長には、高いレベルのスキル、知識、そしてリーダーとしての指導力を求めており、常にそれに応えられる優秀な人材を配置してきております。
  • そういった人材にふさわしいレベルの給与を設定しており、2007年度実績では、平均給与は716万円、さらに、最高額900万円を超える店長もおり、店長の給与としては業界で最高レベルにあります。

世界のリソースの活用と独立性

  • 1971年の創業から2003年までの間、日本マクドナルドは、世界のマクドナルドが有するブランド、商品開発力等と、十分な連動をすることなく、むしろ日本独自の経営方針を進め、その結果大きなビジネス機会点の損失が生じていました。これに対し、2004年からの新しい経営戦略おいては、グローバルな視点から世界のマクドナルドとの連動を深め、その経営資産を日本マクドナルドのために最大限に有効活用してきております。

2.マクドナルドの店長

店舗における労務管理、時間外勤務管理、人材育成は当該店長の管理職としての責任であり、一部の店長がこれを全うできなかったことは大変残念であります。これらの店舗に関しては強力なサポートと指導をもって改善してきましたが、理想的な労働環境をめざし改善をさらに推進しております。

現在係争中事案の当該店長の勤務状況が一時期長時間に及んだことは事実であります。しかし、状況も改善され2006年以降、現在にいたるまで労働時間も適正なレベルになっており、当該店長から勤務時間に関する不満等は出ておりません。

原田CEOの直轄プロジェクトとして、時間外勤務については今後も引き続き管理を強化して、長時間の時間外勤務が起きたり、結果として社員にとって不健康な勤務になったりすることのないよう、社員のワークライフバランスを念頭に全社的に取り組んでまいります。

弊社社員は、皆その仕事と責任にプライドを持ち、その職務を果たそうと努力を重ね勤勉に働いております。 一方で、2004年から継続している社員とクルーの意識調査、満足度調査のスコアは確実に向上してきています。

それを表すひとつの数字が店舗社員採用人数と退職率です。この4年間、過去の数年間に比べ採用数が増加する一方、退職率も大幅に減少しています。経営方針と戦略を理解し会社業績を伸ばすことが社員の仕事に対する最大のモチベーションであることが社員意識調査にも現れており、これは社員の士気が向上していることの表れです。

また、1店舗あたりのクルーの在籍人数も、毎年確実に向上してきており、店舗の安定的な運営に寄与しています。

その中でも店舗の運営を任されている店長は現場の管理者として特に高い意識と使命感を持って働いております。店長の仕事は、単位時間あたりの賃金で働くマニュアルレーバー的な考え方でとらえられません。マクドナルドにとって店舗は一つの経営単位であり、店長はその店舗に関するPL責任を持ち、これを果たすために下記を推進しています。

  • QSC(品質・サービス・清潔さ)の維持
  • 売上の最大化
  • 適正な利益の確保
  • セキュリティやフードセーフティを含むすべての店舗管理
  • クルーの採用とトレーニング
  • 自身を含むチームメンバーの能力開発と育成 等

店長は正に現場の管理者の位置づけです。

マクドナルドの店舗では全国で14万人のクルーが働いており、過去からの累計では260万人に達します。以前よりクルーからの正社員採用に力を入れてきていますが、特にこの4年間はこれが進み、正社員採用のうち7割以上を現クルーが占めるまでになりました。パートタイム労働法の改正に順じて各企業はパートの正社員化を進めておりが、弊社では以前よりすでに確実な成果を上げてきたところです。これも各店舗において店長が人材の育成に真剣に取り組んできた結果といえます。

3.日本マクドナルドの環境対策活動

日本マクドナルドは以前より、地球環境の維持・改善に貢献していくことを企業フィロソフィーとしており、温暖化防止等様々な環境対策をそのオペレーションの中に組み込み、実行してまいりました。

  • MFY(メイド・フォー・ユー = お客様の注文を受けてから作り始める)システム導入による食品廃棄物の削減:
    −導入を開始した2001年と2006年の対比で食品ロスを22%削減
  • 省エネルギーによるCO2の削減:
    −1990年を基準とし、この5年間で9.8%のCO2削減
    −京都議定書の目標である6%は現状クリアーしています
    −京都議定書の評価期間2008年〜2012年の間も、省エネをより強化して まいります。
  • 容器包装類の軽量化
    −レジ袋はこの2年間で約30%重量の軽量化
    −2007年からレジ袋/紙ナプキン削減キャンペーンの全国導入
    −紙カップリサイクルテストの開始(2005年〜 新宿10店舗)
    −バイオマスガス化のリサイクルテストの開始(2005年〜 京都25店舗)
    −地球温暖化対策防止イベントへの協賛と、ブース参加(2004年から4年連続)
  • 2007年9月にトレーマット上で「1人、1日1KgのCO2削減」の環境省主催キャンペーンを支援するマクドナルドプロモーションを展開。その週末に行政のサーバーがダウンするほど反響があり、メディアも大きく取り上げました。

福田内閣メールマガジンへの投稿

こういった背景から、福田内閣の要請を受け、2007年10月、内閣のメールマガジン第2号へ原田CEOが投稿。弊社の地球温暖化対策について紹介されました。